令和6年度 春期 午前Ⅱ 問22
法務
著作権法に関する問題
公衆への提供などが行われた他人の著作物をAIの学習データとして利用する行為に関して,著作権法に照らして適切なものはどれか。ただし,著作物の利用は,AIによる情報解析の範囲で行われ,著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的とするものではない。また,日本国内で作成された著作物を日本国内で利用する場合であり,利用者と著作権者との間で特段の契約は存在しないものとする。
- ア他人の著作物から情報を抽出してAIに学習させる行為は,どのような条件においても,一切禁止されている。
- イ著作権者の許諾が得られた場合に限って,著作権者との合意の範囲内において,AIの学習に利用できる。
- ウ著作権者の利益を不当に害さない場合,その必要と認められる限度において,商業利用であるか否かを問わず,著作権者の許諾なくAIの学習に利用できる。
- エ著作権者の利益を不当に害する場合及び商業利用の場合を除いて,著作権者の許諾なくAIの学習に利用できる。
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✓ これが正解ウ著作権者の利益を不当に害さない場合,その必要と認められる限度において,商業利用であるか否かを問わず,著作権者の許諾なくAIの学習に利用できる。
解説
利益を不当に害さず必要な限度なら、商業利用でも許諾なく使えます。
著作権法には、著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的としない利用について、著作権者の許諾なく行えるとする規定(第30条の4)があり、AIの学習のための情報解析はその代表的な例とされます。見分ける軸は、許諾の要否、著作権者の利益を不当に害する場合の扱い、商業利用の扱いの三点です。この規定では、利用はその必要と認められる限度に限られ、著作物の種類や用途、利用の態様に照らして著作権者の利益を不当に害することとなる場合は対象外とされます。一方で、営利目的かどうかによる区別は設けられていません。許諾は不要、不当に害する場合は除く、営利かどうかは問わない、の三つをそろえて覚えると判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア他人の著作物から情報を抽出してAIに学習…:他人の著作物を使ったAIの学習が、どのような条件でも一切禁止されているわけではありません。著作権法は、思想や感情の享受を目的としない情報解析などの利用について、一定の条件のもとで許諾なく行えることを定めています。
- イ著作権者の許諾が得られた場合に限って,著…:許諾を得た場合に限るとする点が誤りです。享受を目的としない情報解析のための利用は、必要と認められる限度で、著作権者の利益を不当に害さない限り、許諾がなくても行えます。許諾は前提条件になっていません。
- エ著作権者の利益を不当に害する場合及び商業…:著作権者の利益を不当に害する場合を除くという点は合っていますが、商業利用を除外している点が誤りです。この規定は利用の目的が営利か非営利かで区別しておらず、商業目的のAIの学習にも適用されます。
この問題の用語
- 著作権法著作権の中身と、守られる範囲や例外を定めた法律。どこまでが引用として許されるかも、ここで決まっています。
- 著作権文章や絵、プログラムなどを作った人に自動で生まれる権利。届け出をしなくても、作った時点で発生します。
- 契約当事者の合意で成立する法的な約束のこと。原則として口頭でも成立し、契約書は内容を確かめる証拠になります。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22
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