平成23年度 特別 午前Ⅱ 問4
労働関連・取引関連法規
偽装請負に関する問題
A社のシステム開発課長の指揮監督下でB社のプログラマが開発業務を担当する状況において,監査報告書に記載された指摘事項として,適切なものはどれか。
- アB社が一般労働者派遣事業の許可を得ていない場合,派遣契約はできないので,請負契約に改める必要がある。
- イ請負契約であり,B社に対してはコーディング業務に限定して発注する必要がある。
- ウ請負契約であり,著作権の帰属があいまいになるので,法人著作である旨と著作者人格権とを,A社の権利として,契約条項に記載する必要がある。
- エ派遣契約であり,B社のプログラマがA社の著作権を侵害した場合の措置に関する規定を設けておく必要がある。
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✓ これが正解エ派遣契約であり,B社のプログラマがA社の著作権を侵害した場合の措置に関する規定を設けておく必要がある。
解説
A社の課長が直接指揮するので派遣にあたり、著作権侵害の措置を定めます。
見分ける軸は、誰がB社のプログラマに指揮命令しているかです。A社の課長が指揮監督しているので、この働き方は労働者派遣にあたります。請負契約では、仕事の進め方を指揮するのは請け負った側であり、発注者が受託者の作業者に直接指示を出すと偽装請負とみなされるおそれがあります。派遣されたプログラマはA社の指揮の下でA社の資産に触れながら作業するため、そのプログラマがA社の著作権を侵害した場合にどう対処するかを契約で決めておくよう求めるのは、監査の指摘として筋が通ります。まず指揮命令の主体で契約の種類を決め、その種類に合った指摘を選ぶと整理できます。出題当時の労働者派遣法にあった一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別は、2015年施行の改正で廃止され、許可制に一本化されています。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- アB社が一般労働者派遣事業の許可を得ていな…:A社の課長がB社のプログラマを直接指揮している実態のまま請負契約に切り替えると、発注者が受託者の作業者を指揮する形になり、偽装請負の問題が生じます。契約の名前を変えても、指揮命令の実態が派遣のままでは是正になりません。
- イ請負契約であり,B社に対してはコーディン…:請負契約だとしたうえでコーディングに限って発注せよという指摘ですが、前提が誤っています。A社の課長が作業者を指揮監督している以上、作業の範囲を絞っても請負とは言えず、指揮命令の実態に合いません。
- ウ請負契約であり,著作権の帰属があいまいに…:請負契約を前提にしている点が、指揮命令の実態と合いません。加えて、著作者人格権は著作者本人に固有の権利で他人に譲り渡せないとされるため、A社の権利として契約に書くという対応にも無理があります。
この問題の用語
- 著作者人格権作った人の気持ちを守る権利で、他人に譲ることはできません。意に反して作品を変えられない同一性保持権などが含まれます。
- ログいつ誰が何をしたかを、機器やソフトウェアが自動で残していく記録です。あとから出来事をたどれるので、事故の調査や不正の発見に使われます。
- 監査報告書監査の結果と意見、改善の勧告をまとめて伝える文書のことです。原案は相手と意見交換し、事実誤認がないかを確かめます。
- 指摘事項監査で見つかった、直すべき点として報告書に書かれる事柄です。決まりどおりに行われていた行為は、ここには含まれません。
- 請負契約仕事の完成を約束して引き受ける契約のこと。作業の遂行だけを約束する準委任契約と違い、成果物を完成させる義務を負います。
- 著作権文章や絵、プログラムなどを作った人に自動で生まれる権利。届け出をしなくても、作った時点で発生します。
出典:平成23年度 特別 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問4
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問24:IPランドスケープの説明(著作権)
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問7:システム監査基準に関する問題(監査報告書)
- 令和6年度 秋期 午前Ⅱ 問7:監査報告書に関する問題(指摘事項)
- 令和2年度 10月 午前Ⅱ 問13:フェアユースの説明(著作者人格権)
- 平成26年度 春期 午前Ⅱ 問5:外部委託管理の監査に関する記述(請負契約)
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