プロセッサ|エンベデッドシステムスペシャリスト試験
この分野には 28問あります。くり返し出ているものから並べています。
この分野でくり返し出ている用語はキャッシュ(2問)です。問題が多い回は令和5年度 秋期(4問)・平成21年度 春期(4問)・平成25年度 春期(3問)です。
命令が流れる順番と、その流れを止めずに速くする工夫
命令は、命令フェッチ、命令の解読、オペランドの読出し、実行という順に処理されます。主記憶上のオペランドを使う命令では、解読のあとに実効アドレスを計算してから値を読み出します。次に実行する命令の番地はプログラムカウンタが保持し、分岐命令が実行されるとその内容が書き換わります。プロセッサと主記憶の間の転送能力が全体の速さを縛ることを、フォンノイマンボトルネックと呼びます。
パイプラインは命令の処理を複数のステージに分け、少しずつずらして重ねて実行する方式です。D段のパイプラインにI個の命令を流すと、最初の命令が終わるまでにDピッチ、その後は1ピッチごとに1命令ずつ完了するので、合計はI+D-1ピッチになります。命令が1個のときに全ステージ分の時間へ戻るかで式を確かめられます。
流れを乱す要因がハザードで、データの依存、資源の取り合い、分岐による制御の乱れに分けられます。分岐の結果を待たずに予測した先を実行するのが投機実行、データ待ちの命令を追い越して後続の命令を先に実行するのがアウトオブオーダ実行です。パイプラインを複数持ち、同時に複数の命令を実行するのがスーパスカラです。
性能の計算では、命令ミックスの各命令の実行時間に出現率を掛けて平均命令実行時間を求め、その逆数をMIPSに直します。一部分だけを速くしたときの全体の効果はアムダールの法則で表され、改善部分の割合をR、その性能向上率をAとすると全体は1/((1-R)+R/A)倍で、改善しない部分が上限を決めます。
割込みは、入出力の完了やタイマのようにプロセッサの外から来る外部割込みと、ゼロ除算やオーバフローのように実行中の命令が原因になる内部割込みに分かれます。マルチコアでは、共有バスを監視して各コアのキャッシュの一貫性を保つスヌープキャッシュが使われます。省電力の面では、止まっている回路ブロックへの電源を切るパワーゲーティングや、高性能コアと省電力コアを負荷に応じて使い分けるbig.LITTLEがあります。
この分野で出た問題
- 平成26年度 春期 問62回出題コンピュータシステムにおいて,性能改善手法を適用した機能部分の全体に対する割合をR(0<R<1),その部分の性能改善手法適用前に対する適用後の性能比をAとする。このとき,システム全体の性能改善手法適用前に対する適用後の性能比を表す式はどれか。
- 令和2年度 10月 問42回出題マルチコアプロセッサで用いられるスヌープキャッシュの説明として,適切なものはどれか。
- 平成24年度 春期 問2同一メモリ上で転送するとき,転送元の開始アドレス,転送先の開始アドレス,方向フラグ及び転送語数をパラメタとして指定することでブロック転送ができるCPUがある。図のようにアドレス1001から1004の内容をアドレス1003から1006に転送するとき,パラメタとして適切なものはどれか。ここで,転送は開始アドレスから1語ずつ行われ,方向フラグに0を指定するとアドレスの昇順に,1を指定するとアドレスの降順に転送を行うものとする。
- 平成23年度 特別 問116ビットのダウンカウントのカウンタを用い,そのカウンタの値が0になると割込みを発生するハードウェアタイマがある。カウンタに初期値として10進数の150をセットしてタイマをスタートすると,最初の割込みが発生するまでの時間は何マイクロ秒か。ここで,タイマクロックは16MHzを32分周したものとする。
- 平成21年度 春期 問1MPUの高速化技術の一つであるスーパスカラの特徴として,適切なものはどれか。
- 令和5年度 秋期 問21RISC-Vの説明として,適切なものはどれか。
- 令和5年度 秋期 問1big.LITTLEテクノロジの説明として,適切なものはどれか。
- 平成22年度 春期 問2すべての命令が5サイクルで完了するように設計された,パイプライン制御のコンピュータがある。20命令を実行するには何サイクル必要となるか。ここで,すべての命令は途中で停止することなく実行でき,1ステージは1サイクルで動作を完了するものとする。
- 平成21年度 春期 問3コンピュータの命令実行順序として,適切なものはどれか。
- 平成25年度 春期 問1ストアドプログラム方式のコンピュータの性能向上を妨げる要因のうち,“フォンノイマン ボトルネック”と呼ばれているものはどれか。
- 平成29年度 春期 問1スーパスカラの説明として,適切なものはどれか。
- 平成21年度 春期 問14ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)の特徴のうち,適切なものはどれか。
- 令和7年度 秋期 問2パイプラインの性能を向上させるための技法の一つで,分岐条件の結果が決定する前に,分岐先を予測して命令を実行するものはどれか。
- 令和7年度 秋期 問1パイプラインの深さをD,パイプラインピッチをP秒とすると,I個の命令をパイプラインで実行するのに要する時間を表す式はどれか。ここで,パイプラインは1本だけとし,全ての命令は処理にDステージ分の時間が掛かり,各ステージは1ピッチで処理されるものとする。また,パイプラインハザードについては,考慮しなくてよい。
- 令和5年度 秋期 問3パイプラインの深さをD,パイプラインピッチをP秒とすると,I個の命令をパイプラインで実行するのに要する時間を表す式はどれか。ここで,パイプラインは1本だけとし,全ての命令は処理にDステージ分の時間が掛かり,各ステージは1ピッチで処理されるものとする。また,パイプラインハザードについては,考慮しなくてよい。
- 令和3年度 秋期 問1パイプラインハザード対策に関する記述のうち,アウトオブオーダ実行方式を用いたものはどれか。
- 平成26年度 春期 問1パイプライン制御の特徴はどれか。
- 平成31年度 春期 問1プロセッサの省電力技術の一つであるパワーゲーティングの説明として,適切なものはどれか。
- 令和4年度 秋期 問1マルチコアプロセッサで用いられるスヌープキャッシュの説明として,適切なものはどれか。
- 平成25年度 春期 問3主記憶へのアクセスを伴う演算命令を実行するとき,命令解読とオペランド読出しの間に行われる動作はどれか。
- 平成25年度 春期 問2全てのプロセッサから共有メモリへのメモリアクセス時間が同等なマルチプロセッサアーキテクチャはどれか。
- 平成29年度 春期 問2内部割込みの要因として,適切なものはどれか。
- 平成27年度 春期 問1内部割込みの要因として,適切なものはどれか。
- 令和6年度 秋期 問1各ソフトウェアモジュールからアクセスできるハードウェアリソースやメモリ領域の範囲を適切に制限するために,4段階の特権レベル(EL0~3)をもつCPUがある。ELの次の数字が大きいほど高い特権レベルであるとき,各特権レベルにソフトウェアモジュールを適切に割り当てているものはどれか。
- 令和3年度 秋期 問2命令アドレスレジスタ(プログラムカウンタ)に関する記述として,適切なものはどれか。
- 令和2年度 10月 問3外部割込みの要因となる事象として,適切なものはどれか。
- 令和5年度 秋期 問2表に示す命令ミックスによるコンピュータの処理性能は何MIPSか。
正解と解説は、答え合わせのあとに出ます。
年度から解く
この分野の問題は 15年度ぶんの試験から出ています。いちばん新しいのは令和7年度 秋期です。年度別に解くと、回ごとにまとめて解けます。