平成29年度 問11
民法
時効の中断に関する問題
マンションの管理組合が区分所有者に対して有する管理費支払請求権の消滅時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 1支払督促は、所定の期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。
- 2民事調停が調わないときは、6箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。
- 3管理費を滞納している区分所有者が、滞納の事実を認める承認書を管理組合の管理者あてに提出したときは、管理費支払請求権の時効が中断する。
- 4管理組合の管理者が死亡し、後任の管理者が決まらなかったとしても、管理費支払請求権の時効は中断しない。
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✓ これが正解2民事調停が調わないときは、6箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。
解説
民事調停が調わないときは、1箇月以内に訴えを起こす必要がありました。
この問は、出題当時の民法の時効の中断の決まりで判断します。当時の民法では、時効は請求、差押え・仮差押え又は仮処分、承認によって中断し(第147条)、中断すると、それまでに進んだ期間は意味を失い、中断の事由が終わった時から新たに進行を始めました。
民事調停の申立ても請求の一つとして扱われましたが、相手方が出頭しない場合や調停が調わない場合は、1箇月以内に訴えを提起しなければ時効の中断の効力を生じないとされていました(当時の第151条)。6箇月以内とする記述は期間が違うので誤りで、これが答えです。
他の記述は当時の条文どおりです。支払督促は、所定の期間内に仮執行の宣言の申立てをせず効力を失うときは、時効の中断の効力を生じません(当時の第150条)。滞納者が滞納の事実を認める承認書を出すことは承認にあたり、時効は中断します。管理者の死亡は中断の事由に挙がっていないので、それだけで時効が中断することはありません。
調停は1箇月、と期間を数字で押さえると、6箇月との入れ替えに気付けます。出題当時の民法は、時効の中断という仕組みでした。現在は民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号、2020年4月1日施行)により時効の完成猶予と更新に改められ、調停が調わずに終わったときはその終了の時から6箇月を経過するまで時効が完成しない扱いなので、中断を前提にしたこの問の記述は今の法律ではそのまま判断できません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1支払督促は、所定の期間内に仮執行の宣言の…:支払督促は、債権者が所定の期間内に仮執行の宣言を申し立てないと効力を失い、その場合は時効を中断する効力も生じないと当時の民法は定めていました。記述は条文どおりで正しい内容です。
- 3管理費を滞納している区分所有者が、滞納の…:債務者が自分の債務を認めることは承認にあたり、時効の中断事由とされていました。滞納している区分所有者が承認書を管理者あてに出せば、管理費支払請求権の時効は中断するので、記述は正しい内容です。
- 4管理組合の管理者が死亡し、後任の管理者が…:当時の民法が定めていた中断事由は、請求、差押え等、承認の三つでした。管理者が亡くなって後任が決まらないことはそのどれにもあたらないため、時効が中断しないとする記述は正しい内容です。
出題当時の情報です(現在との違い)
出題後の2020年4月施行の民法改正(時効の完成猶予・更新)により、現在の決まりではこの問の正解が変わります(くわしくは解説の最後を参照)。
出典:平成29年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問11
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