令和元年度 問11
民法
時効の中断に関する問題
マンションの管理費の支払債務の時効の中断に関する次のア〜エの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 管理費の滞納者が死亡した場合においては、時効は中断する。
イ 管理費の滞納者が破産手続開始の決定を受けた場合においては、その破産手続開始決定の時に時効が中断する。
ウ 管理費の滞納者に対して内容証明郵便による催告をしても、催告後6箇月以内に裁判上の請求など一定の時効中断手続をとらないと、時効の中断の効力は失われる。
エ 管理費の滞納者が、滞納している事実を認める旨の承認書を管理組合に提出した場合においては、その承認書が公正証書によるものでなくても、時効が中断する。
- 1一つ
- 2二つ
- 3三つ
- 4四つ
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✓ これが正解2二つ
解説
正しいのは催告と承認の記述の二つで、死亡と破産開始決定は誤りです。
この問は、出題当時(2020年4月の改正前)の民法の時効の中断の決まりを問うものです。時効の中断とは、それまで進んできた時効の期間をいったん無にして、改めて進行させる仕組みです。出題当時の民法第147条は、中断の事由を、請求、差押え・仮差押え又は仮処分、承認と定めていました。
記述アは、滞納者の死亡で時効が中断するとしていますが、死亡はこれらの事由のどれにも当たらず、誤りです。記述イは、破産手続開始の決定の時に中断するとしていますが、中断に結びつくのは債権者が債権を届け出る破産手続参加で、開始の決定そのものではないので誤りです。
記述ウは、催告は6箇月以内に裁判上の請求などをしなければ中断の効力を生じないとする出題当時の第153条のとおりで、正しいです。記述エは債務者による承認で、承認は公正証書による必要がなく、承認書の提出でも中断するので正しいです。正しいものはウ・エの二つです。
催告は6箇月の時間かせぎ、承認は形式を問わない、と覚えると見分けやすくなります。出題当時の民法では以上のとおりでした。現在は2020年4月1日施行の民法改正により、中断は更新と完成猶予に整理され、催告があったときはその時から6箇月を経過するまで時効は完成せず(第150条第1項)、権利の承認があったときは時効が新たに進行を始めます(第152条第1項)。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1一つ:一つとすると、催告の記述と承認書の記述のどちらかを落としています。6箇月以内の手続を条件とする催告の定めも、公正証書を要しない承認も、どちらも出題当時の条文に沿っています。
- 3三つ:三つとする数え方では、死亡か破産手続開始の決定のどちらかを中断の事由と誤って数えています。死亡は事由にならず、破産では債権の届出による手続への参加が中断に結びつきます。
- 4四つ:四つとすると、すべての記述を正しいと扱うことになります。滞納者の死亡も、破産手続開始の決定そのものも、出題当時の民法が定める中断の事由には当たらないので、四つにはなりません。
出典:令和元年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問11
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