平成30年度 問11
民法
マンションの管理費の滞納に対する対策及び法的手続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1管理組合が管理費を滞納している区分所有者に書面で督促する場合、内容証明郵便で行わなければ、「催告」に該当せず、時効の中断の効力を生じない。
- 2管理規約に管理費の遅延損害金の定めがない場合には、管理組合は、民法所定の法定利率による遅延損害金を請求することができない。
- 3管理費を滞納している区分所有者が、自己破産の申立てを行い、破産手続開始の決定を受けた場合、管理組合は、先取特権の実行を除き、破産手続に参加しなければ、滞納管理費の回収をすることができない。
- 4管理費を滞納している区分所有者が行方不明の場合は、管理組合は、その者に対して、滞納管理費の支払請求についての訴えを提起することはできない。
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✓ これが正解3管理費を滞納している区分所有者が、自己破産の申立てを行い、破産手続開始の決定を受けた場合、管理組合は、先取特権の実行を除き、破産手続に参加しなければ、滞納管理費の回収をすることができない。
解説
破産後の滞納管理費は、先取特権の実行を除き破産手続で回収します。
区分所有者が破産手続開始の決定を受けると、開始前に生じた滞納管理費は破産債権となり、破産法第100条第1項により、破産手続によらなければ行使できません。管理組合は債権を届け出て配当を受けることになります。ただし、区分所有法第7条の先取特権(管理費等の債権について区分所有権などの上に認められる優先権)は、破産法上の別除権に当たり、破産手続によらないで行使できます(破産法第65条第1項)。先取特権の実行を除き、破産手続に参加しなければ回収できないとする記述が適切です。
時効に関する催告には決まった方式がなく、内容証明郵便は送った事実と日付を証明しやすくする手段です。遅延損害金は、規約に定めがなくても法定利率によって請求できます(民法第419条第1項)。滞納者が行方不明でも、公示送達を使えば訴えを提起できます。
破産なら届出と配当、先取特権だけは手続の外、と覚えると見分けやすくなります。出題当時の民法では、催告は時効の中断の事由とされ、法定利率は年5分でした。現在は民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号、2020年4月1日施行)により、催告は6箇月の時効の完成猶予の事由となり(第150条第1項)、法定利率は年3パーセントを基本に3年ごとに見直す仕組みになっています(第404条)。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1管理組合が管理費を滞納している区分所有者…:催告は、債務者に支払を求める意思を伝えれば足り、方式は定められていません。内容証明郵便は後で証明しやすくするための手段にすぎず、普通の書面での督促も催告に当たるので記述は誤りです。
- 2管理規約に管理費の遅延損害金の定めがない…:金銭債務の不履行による損害賠償の額は、約定がなければ法定利率で定まります。規約に遅延損害金の定めがなくても、管理組合は法定利率による遅延損害金を請求できるので、記述は誤りです。
- 4管理費を滞納している区分所有者が行方不明…:相手の居所が分からない場合でも、公示送達という方法で訴状を送達したものとして扱い、訴訟を進めることができます。行方不明だと訴えを提起できないとする記述は誤りです。
出典:平成30年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問11
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