令和3年度 問41
その他の法令
借地借家法に関する問題
区分所有者Aが、自己の所有するマンションの専有部分をBに賃貸する契約において、AB間で合意した次の特約のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、無効であるものを全て含む組合せはどれか。
ア Bが、賃料を滞納した場合には、Aは、直ちに専有部分に入る玄関扉の鍵を取り替える特約
イ Bは、賃貸借の契約期間中、中途解約できる特約
ウ Bが死亡したときは、同居する相続人がいる場合であっても、賃貸借契約は終了する特約
エ BがAの同意を得て建物に付加した造作であっても、賃貸借契約の終了に際して、造作買取請求はできない特約
- 1エ
- 2ア・イ
- 3ア・ウ
- 4イ・ウ・エ
答えと解説を見る
✓ これが正解3ア・ウ
解説
無効なのは鍵を取り替える特約と賃借人の死亡で終了する特約の二つです。
専有部分の賃貸借には民法と借地借家法が適用されます。借地借家法第30条は、建物賃貸借の更新等について同法が定める規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものを無効とし、第37条は、建物の引渡しによる対抗力や転借人の保護などを定めた第31条・第34条・第35条に反する賃借人に不利な特約を無効とし、造作買取請求の規定はその対象に入れていません。また民法の一般原則として、公の秩序又は善良の風俗に反する契約は無効です。
記述アの、賃料の滞納があれば賃貸人が直ちに玄関扉の鍵を取り替える特約は、裁判などの手続によらずに実力で賃借人の居住を妨げる自力救済を認める内容で、公序良俗に反し無効と考えられます。記述イの、賃借人が契約期間中に中途解約できる特約は、民法が期間を定めた賃貸借でも解約の権利を留保できるとしており、賃借人に不利でもないので有効です。記述ウの、同居する相続人がいても賃借人の死亡で契約が終了する特約は、相続される賃借権を更新や解約の制限によらずに終わらせるもので、賃借人に不利な特約として無効と考えられています。記述エは、第37条が強行規定とする条文に造作買取請求の規定が含まれていないため、造作買取請求をできないとする特約も有効です。
無効なのはアとウです。実力で追い出す特約と賃借人を守る規定を潜り抜ける特約は無効、造作買取請求の排除と賃借人からの中途解約は有効、と組で覚えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1エ:エだけの組は、有効な特約を無効に入れ、無効な特約を外しています。造作買取請求の規定は借地借家法で強行規定とされておらず排除の特約も有効で、反対に鍵の交換や死亡で終了する特約が漏れています。
- 2ア・イ:イの中途解約の特約は、賃借人の側から期間中に解約できる権利を残すもので、民法上認められ賃借人に不利でもないため有効です。死亡で終了するウの特約を外している点でも組合せが合いません。
- 4イ・ウ・エ:ウの死亡で終了する特約は無効ですが、イの中途解約の特約とエの造作買取請求を排除する特約は有効です。さらに鍵の交換で居住を実力で妨げるアの特約が抜けており、組合せが合いません。
出典:令和3年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問41
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)