令和7年度 秋期 午前 問50
開発技術
著作者人格権に関する問題
委託元への著作権の移転に関する条項を含むソフトウェア開発委託契約書に,"委託先は著作者人格権を行使しない" という記載があった。これはどのような問題の発生を防ぐためのものか。
- ア委託先で当該ソフトウェアを開発した開発者が,技術者倫理に関しての責任を負わなくなることを防ぐ。
- イ委託先で当該ソフトウェアを開発した開発者を,委託元が後で雇用できなくなることを防ぐ。
- ウ納品されたソフトウェアに不具合が発見された場合に,委託先が金銭的補償を負わなくなることを防ぐ。
- エ納品されたソフトウェアを委託先の了解なく委託元で修正できなくなること,又は他の会社に修正を依頼できなくなることを防ぐ。
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✓ これが正解エ納品されたソフトウェアを委託先の了解なく委託元で修正できなくなること,又は他の会社に修正を依頼できなくなることを防ぐ。
解説
改変や他社への依頼の道を確保するための条項です。
この設問は、著作権の移転を含む委託の契約書に、委託を受けた側は人格に関わる権利を行使しないと書き添えられている場面で、この一文が何を防ごうとしているのかを選ばせています。ですから、選び方の軸は、この人格に関わる権利のうち、書き手の同意なしに手を加えられない側面が塞がれると、発注した側にとって何が困るのかを一点で見分けるところにあります。人格に関わる権利は書き手に付いて回るもので他人に移せないため、そのままにしておくと、発注側が納品後に不具合を直したり、あるいは別の会社に修正を頼んだりする場面で、書き手の同意を毎回取り付ける必要が残ってしまいます。行使しないと約束させておくのは、この改変の道を塞がれない状態を作り、事後の保守や別の依頼先への切り替えを、発注側が自由に決められるようにするためです。技術者としての行いに対する責任や、雇用の関係や、納品物の不具合に対する責任の話は、いずれもこの条項の役目とは別の領域の話題になります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア委託先で当該ソフトウェアを開発した開発者…:委託を受けた側の書き手が技術者として負うべき倫理上の責任を、この一文で消してしまうことを防ぐ話としています。技術者の倫理上の責任は、権利の不行使を約束する契約の条項で消える性質のものではないため、防ぎたい対象の中身とはずれます。
- イ委託先で当該ソフトウェアを開発した開発者…:委託を受けた側の会社が、書き手となった働き手を雇い続けられなくなることを防ぐ話としています。雇用の関係の維持は雇用の契約が扱う領域で、著作者の人格に関わる権利の不行使を約束する条項の狙いとは、対象の領域が別のものになります。
- ウ納品されたソフトウェアに不具合が発見され…:納品物に不具合が見つかった場合に、委託を受けた側の会社が納品物に関する責任を免れることを防ぐ話としています。不具合への責任は民法上の別の条項が扱う領域で、人格に関わる権利の不行使を約束する条項の狙いとは切り離された話です。
この問題の用語
- 著作者人格権作った人の気持ちを守る権利で、他人に譲ることはできません。意に反して作品を変えられない同一性保持権などが含まれます。
- 著作権文章や絵、プログラムなどを作った人に自動で生まれる権利。届け出をしなくても、作った時点で発生します。
- 契約当事者の合意で成立する法的な約束のこと。原則として口頭でも成立し、契約書は内容を確かめる証拠になります。
- 委託先業務の一部を任せた相手の会社です。任せる内容や守るべき条件を契約で定め、委託した側が状況を確かめます。
出典:令和7年度 秋期 応用情報技術者試験 午前 問50
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 春期 午前 問78:著作権侵害にあたるか否か(著作権)
- 令和6年度 春期 午前 問66:コンティンジェンシープランの記述(委託先)
- 令和4年度 秋期 午前 問78:著作権に関する問題(著作権)
- 令和4年度 春期 午前 問60:システム監査基準(平成30年)(委託先)
- 平成26年度 秋期 午前 問50:著作権に関する問題(著作者人格権)
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